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Create The Best Jeans.

エドウインのジーンズが生み出される瞬間。Whole View of EDWIN Vol.05

今年、目黒に新本社を構えた〈エドウイン(EDWIN)〉。そこでは企画チーム、パタンナー、生産管理、さまざまな職種の人たちが、日々、新たなジーンズを生み出すべく、試行錯誤をつづけています。半世紀以上にわたる国産ジーンズの歴史とジーンズづくりの膨大なノウハウが凝縮されたその場所で、いかにしてジャパンデニムを象徴するアイテムが生み出されるのか? 各セクションを支えるスタッフの方々へのヒアリングを通して、そのプロセスを明らかにしていきます。

エドウインらしさを担うスタッフの想い。

豊富なラインナップが魅力の〈エドウイン〉のジーンズですが、その企画はどのようにして立ち上がるのでしょうか? 今回、〈エドウイン〉のメンズ企画チームのみなさんに集まっていただき、生産にいたるまでのプロセスとジーンズへの想いを聞きました。メンバーは入社20年目で、〈エドウイン〉の代表モデル「503」を主に担当している佐々木健太さん(43歳 / 写真右)、入社10年目でインターナショナルベーシックを主に手がける本村敬太さん(33歳 / 写真中)、そして入社2年目で直営店やGMS向けの商品を手がける栗山里於さん(24歳 / 写真左)です

ーみなさんどのような想いを持って〈エドウイン〉に入社されたんでしょうか?

佐々木:私はちょうど90年代のヴィンテージブーム・レプリカブームの最盛期を経験していたので、ジーンズは馴染み深いものでした。〈エドウイン〉を知ったのはやはりブラッド・ピットが出ていた「503」のCM。それで興味を持ったのがきっかけです。

本村:私はずっとものづくりに携わる仕事に就きたいと思っていたんです。それで昔からジーンズが好きだったこともあり〈エドウイン〉を選びました。服飾の専門学校に通っていたわけではないので、服づくりはまったくの未経験でしたが、入社してすぐに企画に携わることになりました。服づくりは簡単だと思っていたのですが、いざやってみると考えなければならないことがとても多く、難しさを実感しましたね。

栗山:昔から服が大好きで、どのようにつくられているのか知りたいと思い〈エドウイン〉に入社しました。私も服づくりを学んだ経験はありませんが、いまは現場での実践を通して知識と技術を身につけているところです。

ー〈エドウイン〉の商品の企画はどのようにスタートするのでしょうか?

佐々木:各シーズンの展示会に向けて企画をはじめます。長いものだとファブリックの開発からはじめて、1年くらいかけて作るものもあります。ボトムスだけで各シーズン200~300型、年間で500~600型を手掛けていますね。

本村:〈エドウイン〉にはさまざまなシリーズがありますので、それぞれ担当分けをして企画しています。各シリーズのテイストに合わせてデザインすることを心掛けていますね。

ージーンズというベーシックなアイテムを次々に企画するのは大変そうですが…

佐々木:ひと口にジーンズといっても、奥が深いものです。シルエットはもちろん、股上の深さやワタリの幅、レングス、ポケットの形や大きさに位置といったディテールまで、時代によってニーズがどんどん変化していきます。また、ストレッチ素材が主流になってきたように、新たな素材が登場することでジーンズの概念が大きく変わることもあります。そのため、毎年、毎シーズン、何かしらアップデートしなければならないんです。

栗山:トレンドをフォローするだけでなく、こちらから新しい提案をしていくことも必要です。そのため、休日は街を歩いて道行く人を眺めたり、ショップをチェックしたり、ファッションに敏感な人となるべく関わるようにして、感性を鈍らせないように努力しています。

本村:そうは言ってもずっとジーンズをつくり続けているとアイデアの引き出しが無くなってきて、これはマンネリなデザインになっているんじゃないかと行き詰まってしまうこともあります。そんな時は、社内外の色々な人に意見を求めたり、自分と離れた年齢の人の着こなしを見たりして、新たな刺激を受けることで打開しています。
佐々木:その一方で、他人から影響を受けすぎて〈エドウイン〉らしさから外れるのも良くない。かといって独りよがりになるのもダメだし、〈エドウイン〉ブランドを意識しすぎて無難に走るのも良くない。うまくバランスを保つことが大変です。ただ、〈エドウイン〉にはテイストやプライスの異なる数多くのシリーズがあるため、他のファッションブランドに比べていい意味で縛りが少なく、自由度が高いともいえる。その環境を生かして、楽しんでものづくりをしていきたいですね。

ー〈エドウイン〉は日本でも最古参のジーンズブランドであり、過去の膨大なアーカイブもストックされています。そこから得られるメリットはありますか?


佐々木:〈エドウイン〉には、はじめてジーンズを製造した60年代から現在にかけて段ボールで数百箱分のアーカイブがストックされています。もちろん、それらを参考にすることはあります。例えば、いま80年代や90年代に人気があったオーバーサイズのジーンズやケミカルウォッシュのジーンズがリバイバルしています。そういう時に、その時代のアーカイブを見直すとヒントが得られることもあります。長くやっていると過去に培った知識や思いついたアイデアがグルっと回って現在に花開くことがある。そういうことができるのも老舗ならではの強みですね。

ーほかにも〈エドウイン〉ならではの強みがあれば教えてください。


栗山:やっぱり自社工場があることがとても大きいですね。入社した社員はみんな東北の自社工場に行き、2ヶ月ほど住み込みで研修を受けるんです。その際、実際に裁断や縫製、洗い加工といった工程に携わります。それを経験することでジーンズに対する理解がグッと深まりましたし、生産の現場のことも考えながら企画を立てられるようになりました。
本村:自社工場があるおかげで、企画したアイテムをスピーディにサンプルに落とし込んで確認することができるのもメリットです。互いの意思疎通がスムーズなので、何かあればすぐに対応してもらえるし、ニュアンスも伝わりやすい。企画の立場からするととてもありがたいです。

ー最後にみなさんが考える〈エドウイン〉らしさを教えてください。


本村:やはり品質の高さですね。自社工場で徹底したクオリティーコントロールをすることでお客様に間違いのないものをお届けすることが〈エドウイン〉のポリシーです。

栗山:私が中学生の頃に買った〈エドウイン〉のジーンズはいまでも現役です。それだけ品質と完成度が高いということ。生地、縫製、付属、すべてをひっくるめた時の完成度がほかとは違います。

佐々木:ジーンズにこだわりのある人から、そうでない人まで、国籍や年齢、スタイルを超えて、できるだけ多くの人にはいてもらえるジーンズをつくり続けること。それが〈エドウイン〉にとって大切なことであり、ブランドとしての面白さにもつながっていると思います。多くのファッションブランドがジーンズをつくっていますが、ジーンズメーカーである〈エドウイン〉の看板を背負っている以上、ほかとの違いを感じてもらわないといけない。そのために、より良いジーンズをつくり続けていきたいですね。

TEXTILE & PARTS

わずかな違いがジーンズの顔を決める。

ジーンズづくりは、その顔を決定づける生地を選ぶことから始まります。〈エドウイン〉では、これまでに膨大な種類のデニム生地を使ってきましたが、現在も素材をイチから開発することがほとんどだといいます。そのため、紡績会社や生地メーカーとのパートナーシップはとても重要。イメージするジーンズに合った生地スワッチを生地メーカーから送ってもらい、その色合いや風合い、色落ち具合などを徹底的に検討します。イメージと違ったり、縫製に不具合が出る場合があれば、糸の撚り方や生地の織り方を変更してもらうこともあります。また、生地メーカーが新たに開発した生地からインスピレーションを受けて、新商品を企画することもあります。

「〈エドウイン〉は幅広いユーザーに向けて商品をつくっています。本格派を求める人には、しっかりしたオンスのセルビッジデニム、はきやすさを求める人にはストレッチデニムとさまざまな生地を使い分けます」(本村さん)
生地だけでなく縫製もジーンズの表情を左右する要素。ステッチをミリ単位で変えるだけで全体の印象が一変します。また、生地の特性に応じたステッチを検討することも重要です。たとえばストレッチ素材は洗いをかけた時に大きく縮んで、縫製箇所が波打ってしまうことがあります。そんな時は、ステッチの幅やミシンの速さを変えたりして改善します。

「アタリの出方に影響する縫い代の幅も微妙に調整しています。ジーンズにこだわる人が増えたため、昔よりも細かいところまで計算してデザインするようになりました」(本村さん)

ブランドのアイデンティティを主張するボタンやリベット、革ラベルといった付属にももちろんこだわります。ボタンとリベットはそれぞれ百種類ほどあり、シリーズやアイテムのイメージに合わせてチョイスします。革ラベルやフラッシャー、ピスネームなどは、アイテムによって新たにデザインすることも。

「生地や付属にこだわるあまり、全体として見るとどこかアンバランスになってしまうこともあります。完成したジーンズを俯瞰的にイメージすることが大切ですね」(栗山さん)

PATTERN

エドウインならではのフィットを生み出す。

企画チームが練り上げたジーンズのイメージをさらに具体的な形にしていくのがパタンナーの仕事です。アパレルメーカーでは外部のパタンナーに発注するケースが多いですが、〈エドウイン〉では100%自社の社員がパターンの製作を手掛けています。

パタンナーは企画チームがつくった仕様書とヒアリングしたニュアンスをもとに、微調整を加えながら、CADで図面を製作します。それを大型の印刷機で出力し、それに合わせて生地をハサミで裁断。トルソーに合わせて縫上げていきます。

「最初に精度の高いパターンを作ることが重要です。それによって生産するまでのスピードが変わってきますから。そのため、生地の厚さや伸縮具合、縮率などを考慮しながら自分なりの改善を加えていきます。また、工場で縫製がしやすいようにパターンを工夫したり、使うミシンや縫い方を指示することもあります」(デザイン第一課:清水真吾さん)
〈エドウイン〉を代表するシリーズのひとつであるインターナショナルベーシックは、数年ごとにシルエットを大きく更新します。その際は、企画、生産、パタンナー、そして営業担当まで、みんなが集まって方向性を検討します。

「会社全体で1本のジーンズをつくっているような感じですね。だからこそ、多くの人に愛される普遍的なジーンズがつくれるのだと思います。それだけに責任は大きいですが、やりがいを感じられます」(デザイン第一課:清水真吾さん)

「社員同士の距離が近く、自社工場があるため、スムーズに作業が進められます。パタンナーにとっては恵まれた環境です」(デザイン第一課:斎藤朱里さん)

QUALITY MANAGEMENT

生産状況を把握してエドウイン品質を守る。

パターンが確定したら、生産・品質管理の担当者がサンプルの製作を工場に発注します。その後、上がってきたサンプルと仕様書を照らし合わせて不備がないかどうか徹底的にチェック。生地の色合いや縫製、色落ち加工の具合など、仕様と異なる点があった場合は工場に修正を依頼します。はじめて採用した生地を使う時は、工場へ行って工程を確認することも。修正も終わり、実際の生産ラインでつくられた“先上げサンプル”が完成して問題がなければ、本生産のゴーサインを出します。

「最初にできたサンプルと生産ラインに乗せたサンプルとで、色の差が出てしまうことがあります。わずかな違いであっても、お客様に納得していただけるように、妥協せずに修正を指示します」(生産第一課:伊藤修平さん)
〈エドウイン〉は自社工場を有しているとはいえ、思った通りに生産を行えるわけではありません。すでに先々まで別の製品の生産ラインが動いていることがあるからです。そのため、工場のスケジュールを把握して、効率的に生産を行えるように調整することも、生産・品質管理の仕事です。

「冬向けの製品なら、冬までに生産が完了するように、スケジュールを計算しなければなりません。製品がヒットした時には急遽、生産を追加する場合もあります。また、工場によって得意分野が異なりますので、その製品に適した工場を選定する必要もある。そういうさまざまな状況を見ながら、納期に間に合わせつつ、どの工場の生産ラインにも空きをつくらないようにスケジュールを調整しています。できあがった製品が流通センターに納品するまで気が抜けません」(生産第一課:伊藤修平さん)

エドウインの実力がわかる2型の逸品ジーンズ。

左:ばりかたデニム ¥22,000+TAX、 右:ごんぶとデニム ¥18,000+TAX

これまで見てきたように、数多くの人々が関わることで、ようやく1本のジーンズが完成します。それぞれの担当者が、経験と知識、ジーンズに対する思い入れ、そしてものづくりに携わるプライドを持っているからこそ、日本を代表するジーンズメーカーの名に恥じないハイクオリティな製品を生み出せるのです。そんな〈エドウイン〉の近年の傑作が、〈エドウイン〉原宿店2周年を記念してつくられたこちらの2モデル。左は23オンスの荒々しくヘビーなデニム生地を使った「ばりかたデニム」。生地が硬いため、職人がハンマーで叩きながら縫製するほど。まるで鎧のような着用感と唯一無二の色落ちが魅力です。右は〈エドウイン〉の中でも1、2位を争う太さが特徴の「ごんぶとデニム」。ジンバブエコットンを使用し、シャトル織機で織り上げた上質なセルビッジデニムを採用しています。ムラのある風合いにしなやかなはき心地、ホワイトステッチやスラッシュポケットが特徴となっています。これほど極端に振り切ったアイテムを作れるのも、長年蓄積したノウハウと自社工場を持っている〈エドウイン〉だからこそ。実際にはいてみれば、〈エドウイン〉の実力を体感できることでしょう。


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